東北大学 大学院医学系研究科 情報遺伝学分野 有馬隆博研究室

情報公開文書

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ヒト胎盤栄養膜細胞株の樹立と細胞特性に関する研究

1.研究の対象

2014年10月~2024年4月に20歳以上で妊娠初期の子宮内手術を受けた方

2.研究期間

2014年10月(倫理委員会承認後)~2024年4月

3.研究目的

これまで、ヒト胎盤絨毛細胞に関する研究は妊娠初期の胎盤組織を用いて数日間のみ培養(初期培養)を行ったり、絨毛癌細胞を使用し、それより得られたさまざまな情報から正常細胞での機能を類推するという方法論がとられて来ています。しかし、初代培養法では培養期間が短く解析が不十分であり、また、絨毛癌細胞では様々な分子機構が破綻しており、これらを用いた研究結果をそのまま正常絨毛細胞へと適応するには無理があります。そのため、本研究では、ヒト胎盤未分化栄養膜細胞株を樹立し、その細胞特性に関する基礎的な研究を行うことを目的としています。BIP重点実施事業においては、ヒトTS細胞技術を創薬/再生医療プラットフォームとして自ら利用して創薬開発を行いつつ、これを国内外の研究機関、企業等へアライアンスの下に提供することを通じて産科・婦人科に領域にとどまらない様々な医療領域における創薬開発を促すことにより、医療イノベーションの原動力となる事業体を大学発VBとして設立することを目指す。

4.研究方法

1)胎盤細胞性栄養膜細胞の調整
妊娠初期の手術を受ける患者さんに本研究の説明を行った後、本人の同意を得た後、手術後の胎盤組織と脱落膜組織(妊娠7~10週)を回収する。磁気細胞分離法を用いて細胞性栄養膜細胞(CT)のみを高純度(95%以上)に分離する(目標:10例)。

2)栄養膜細胞の培養
研究項目1で分離した細胞を用い、数種類の増殖因子(EGF、FGF4など)を加え、細胞培養する。

3)ヒト胎盤幹細胞株の細胞増殖特性などを解析する。細胞増殖能、細胞増加時間の測定、アポトーシス、細胞同期、細胞表面抗原、分泌蛋白、分化能について調べる。

4)どのような遺伝子が発現しているのか調べる。RNA-Seqにより遺伝子の発現量を調べる。

5)エピゲノム(DNAメチル化、ヒストン修飾)について解析する。

6)解析する遺伝子と方法
①メチローム解析と低分子RNA解析(九州大学生体防御医学研究所 佐々木研究室)
次世代シークエンサーを用い全ゲノムの網羅的メチローム解析と低分子RNA解析を行う。
②ヒストン修飾について解析する。(東北大学大学院医学系研究科)
③エピゲノムデータの評価(九州大学生体防御医学研究所 須山研究室)
ヒト胎盤幹(TS)細胞から得られた遺伝子情報のデータ解析
④研究結果は、その結果が誰のものであるか判らないようにして学術発表および公共データベースへ提供する可能性がある。
また、共同研究先では、ヒト胎盤幹細胞株の細胞表面抗原、分泌蛋白、分化能について調べる。

7)細胞株を理化学研究所バイオリソースセンターに寄託する。

8)国際共同機関として、以下の大学にヒト胎盤幹細胞株を譲渡する。
University of Cambridge、The Babraham Institute、Chinese Academy of Sciences、Bonn Medical School、The University of Texas、Sun Yat-sen University、University of Kansas Medical Center、Development and Neuroscience, University of Cambridge、University Hospital Frankfurt、Max Planck Institute、Helmholtz Center Munich、McGill University、京都大学大学院医学研究科、慶応義塾大学医学部、Joint lab of China、Hubrecht institute、Centre for Trophoblast Research, University of Cambridge 、Yale University、Medical University of Vienna、University of Western Ontario、The Hebrew University-Hadassah Medical School、University of Minnesota、University of Manchester、University of Toronto、Cambridge Stem Cell Institute, University of Cambridge、Ao. Univ、山口大学医学部産婦人科、岐阜薬科大学、Barts and the London School of Medicine and Dentistry、CNRS、 COLORADO CENTER FOR REPRODUCTIVE MEDICINE、 National Taiwan University Hospital、 North Carolina State University、Peking University、The University of British Columbia 、The University of Hong Kong 、 University of California、University of Michigan 、University of Missouri 、 University of Pittsburgh、 Weill Cornell Medicine、Wuhan University 、 北京大学都市環境学院、University of Cambridge 、Duke University 、 CRTI 、 Yale stem Cell Center、 Medical College of Wisconsin、 NICHD/NIH、NIH/NC、 Weizmann Institute of Science、The University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas、The Rockefeller University、Institute of Molecular Biotechnology GmbH、Baker Heart and Diabetes Institute、Hackensack University Medical Center、University of Texas、University of Cambridge、Washington University、University of California Irvine、The University of British Columbia、、University of Texas in Austin、ShanghaiTech University、University of Minnesota、Wellcome Sanger Institute、University of Illinois at Urbana-Champaign、NYU Langone Health、University of Texas、University of Toronto、上武大学、国立成育医療研究センター、ロート製薬株式会社、Cambridge Institute of Therapeutic Immunology and Infectious Disease、慶応大学、MRC Laboratory of Molecular Biology in Cambridge、Department of Pathology & Centre for Trophoblast Research University of Cambridge Tennis Court Road、University of Maryland School of Medicine、Iowa State University、University of Nebraska–Lincoln、富山大学、Universidad de Las Palmas de Gran Canaria、Oxford University、Cornell University、University of East Anglia、University of Vermont、University of Missouri - Kansas City、Imperial College London、徳島大学

株式会社iPSポータルと、東北大学の事業化推進事業型共同研究(BIP重点実施)事業

(1)研究内容
1)胎盤栄養膜細胞の調整
①五十嵐産婦人科で人工妊娠中絶術を行い、本研究への参加に同意した20歳以上の方(目標5検体)②東北大学病院の産婦人科で満期(妊娠37-40週)に自然分娩で出産し、本研究への参加に同意した20歳以上の方(目標5検体)の同意を得た後、手術後の胎盤組織を回収する。磁気細胞分離法を用いて栄養膜細胞のみを高純度(90%以上)に分離する。

2)栄養膜細胞の培養
1)で分離した細胞を用い、数種類の増殖因子を加え、細胞培養する。

3)ヒト胎盤幹細胞株の細胞増殖特性などを解析する。細胞増殖能、細胞増加時間の測定、アポトーシス、細胞同期、細胞表面抗原、分泌蛋白、分化能について調べる。

4)どのような遺伝子が発現しているのか調べる。RNA-Seqにより遺伝子の発現量を調べる。

5)エピゲノム(DNAメチル化、ヒストン修飾)について解析する。

6)解析する遺伝子と方法
 ①次世代シークエンサーを用い全ゲノムの網羅的メチローム解析と低分子RNA解析を行う。
 ②ヒストン修飾について解析する。
 ③エピゲノムデータの評価
 ④ヒト胎盤幹(TS)細胞から得られた遺伝子情報のデータ解析
 ⑤研究結果は、その結果が誰のものであるかわからないようにして学術発表する可能性がある

7)細胞株の一部は、株式会社iPSポータル社、ロート製薬株式会社に寄託する。

8)二次利用のため他機関へ提供する可能性がある。

5.研究に用いる試料・情報の種類

試料:手術後の胎盤組織

6.外部への試料・情報の提供

データセンターへのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。遺伝子解析を開始する前に、試料や診療情報からは住所、氏名などを削り、代わりに新しく符号をつけ、匿名化します。匿名化は医療機関で行います。匿名化するにあたっては「連結不可能匿名化」を行います。

7.研究組織

東北大学大学院医学系研究科  柴田峻
九州大学生体防御医学研究所  佐々木裕之、須山幹太

株式会社iPSポータルと、東北大学共同研究事業

研究体制

8.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

照会先:
住 所:980 – 8575 宮城県仙台市青葉区星陵町2-1
研究機関名:東北大学大学院医学系研究科
電 話:022 (717) 7844
FAX:022 (717) 7063
研究責任者:柴田峻
E-mail:shun.shibata.a3@tohoku.ac.jp

研究代表者:東北大学大学院医学系研究科 柴田峻

共同研究機関 株式会社iPSポータル
住 所: 京都府京都市上京区河原町通今出川下る梶井町448番地5
電 話:075-256-8567 
FAX:075-256-8646
担当者氏名:堀 清次
URL:https://ipsportal.com/

◆個人情報の利用目的の通知に関する問い合わせ先

保有個人情報の利用目的の通知に関するお問い合わせ先:「8.お問い合わせ先」

※注意事項
以下に該当する場合にはお応えできないことがあります。

<人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 第6章第16の1(3)>
①利用目的を容易に知り得る状態に置くこと又は請求者に対して通知することにより、研究対象者等又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

②利用目的を容易に知り得る状態に置くこと又は請求者に対して通知することにより、当該研究機関の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合

◆個人情報の開示等に関する手続

本学が保有する個人情報のうち、本人の情報について、開示、訂正及び利用停止を請求することができます。
保有個人情報とは、本学の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した個人情報です。

1) 診療情報に関する保有個人情報については、東北大学病院事務部医事課が相談窓口となります。詳しくは、下記ホームページ「配布物 患者さまの個人情報に関するお知らせ」をご覧ください。(※手数料が必要です。)
【東北大学病院個人情報保護方針】

2) 1)以外の保有する個人情報については、所定の請求用紙に必要事項を記入し情報公開室受付窓口に提出するか又は郵送願います。詳しくは請求手続きのホームページをご覧ください。(※手数料が必要です。)
【東北大学情報公開室】

※注意事項
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<人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 第6章第16の2(1)>
①研究対象者等又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

②研究機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合

③法令に違反することとなる場合